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弱きをくじく! 競売の現場から見た生活保護制度

JUGEMテーマ:不動産投資

 

 

弱きをくじく! 競売の現場から見た生活保護制度

 

 

 

生活保護制度については、いろいろな意見があると承知しています。どんなことに対しても、いろいろな意見があるのは健全なことだと思います。ここで書くのは、ワンマンバンドの携わる競売の現場から見た、現在の生活保護制度に対する僕の個人的な見解です。

 

「不動産競売にかかった債務者は一般的に生活に困窮している」ということは、おおむね争いのないところだと思います。家を取り上げられ、収入が限られ(もしくはほとんどなく)、貯金もない。「最後のセーフティネット」である「生活保護」は、まさにこのような人たちのために存在します。我々も、そういう人たちには生活保護の受給を検討するよう勧めるし、必要があれば一緒に役所にも赴きます。

 

それでは、「競売にかかって、本当に困窮している人」の中でどういう人が生活保護を受けやすいか、というと、もちろん困窮の度合いにはよるわけですが、それ以外に「自分の困窮状態を理路整然と決然と役場で説明することができる」能力を持った人なのです。昨今の生活保護の現状、「受給者の増加」「不正受給の問題」「職員不足」を考えるとやむを得ない部分も大きいですが、生活保護の相談、申し出に対し、まずネガティブに対応する自治体がほとんどです。多くの自治体では、そう簡単に申請書を受理してもらえない(生活保護の申請自体は万人に認められた権利であるにも関わらず)。それを打破するには、慣れない役場で自分の困窮を強気で主張し、相手に聞く耳を持ってもらうことが必要です。

 

しかしそのようなことのできる人は、普通は競売にかかって自分の家を取られたりはしないのです。

 

 

 

 

役場の職員の気持ちもわかります。限られたマンパワーの中で、本当の困窮状態を見極めるのは大変な仕事です。ましてや、保護費の増大は、自治体の財政に大きなマイナスインパクトを与えているのですから。

 

  • 高齢化もあり、生活保護受給者はどんどん増えていて、これからも増える
  • それを支える労働人口は減り続ける
  • 不正受給者が後を絶たず、それを食い物にしたビジネスもはびこる
  • 管理処理能力は限界にあり、公正な需給を妨げている

 

問題は根源的で、制度自体の大きな変革なしにはとても立ちいかない状況にあると思います。

 

 

 

 

僕自身の考えを述べれば、生活保護の給付水準は高すぎると思います。

 

我々が生活困窮者に生活保護を勧めるのは、それ以外の手段ではピンチを回避することができないからです。最近は求人は増えていますが、地方においてはそれほどでもない。特に高齢者が仕事を見付けるのは困難。給料、時給の上昇もない。その状況では、頑張って職を見付けて(もしくはすでに職についていて)働いても、そのピンチからは抜け出すことは難しい。しかし生活保護はそれを一気に解決します。

しかし、現在の制度では、一度保護を受けた人は、そこから抜け出すのは困難です。

 

家賃が出る。引っ越し代も出る。パートでフルに働くくらいの給付額が出る。医療費は全額支給。

 

これでは働く気にはなりません。もちろん、それで「健康で文化的な生活」が十分営める、と言っているわけではありません。もっと現実的な問題です。

 

国民年金の保険料を納めない人が増えています。しかし、今の現役世代が国民年金保険料を納め続けて、年を取って受給できる年金は、生活保護費よりずっと少ないのです(現在の国民年金の支給額は、40年間保険料を支払った人で平均5万4千円。ましてや将来は!)。それでは保険料を払わないのも道理です。

 

理念や理想はおいておいて(それは大事なことですが、それだけでは食っていけない)現実的に考えるならば、「生活保護費をできるだけ削り、必要な人にはきちんといきわたるようにする」という方向が必要で、さらに「そのための事務的な処理をできる限り簡素化する」必要があります。

 

そんな都合のいい方法、あるのかな。

 

「ベーシック・インカム制度」は、その一つの回答になりうる方法だと思います。

「国民全員に最低限度の生活を保障するための費用を給付する」という、一見荒唐無稽なアイディアに見えますが、詳細を見ていくと良く理に適っており、大きな可能性を感じます。

日本ではまだあまり議論は深まっていませんが、スイスでは2016年に導入を巡って国民投票が行われ(否決)、オランダでは実験的に一部導入されています。

 

 

国全体の競争力を保つためにも、社会の在り方としても、僕自身は「働くことに大きなモチベーションのある社会」を望んでいますが、一方「何らかのディスアドバンテージを持った人でも、安心して暮らし続けていける社会」である必要があると思います。

その二つの要素は、両立させることは簡単ではありませんが、ベーシックインカム制度は、その可能性を持った、真剣に検討するに値する考え方だと思います。(2017年3月19日)

 

 

 

 

 

author:oneman-band, category:不動産一般, 10:04
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